栄養素と効能からひも解く食材図鑑 ~椎茸~
2022.01.04
さて、今回取り上げるのはあらゆる茸の中の代表格ともいえる椎茸
多少好き嫌いの出やすい印象の椎茸ですが、日本で長い歴史を持ち、人々に愛され続けている食材であることは間違いありません
そんな椎茸の魅力を再確認すべく、秘密を紐解いていきましょう
椎茸の由来
そもそも「しいたけ」という名前の由来ですが諸説ありまして、「椎の木に育つ茸」や「四季茸」という言葉がなまってしいたけと呼ばれるようになったという説が有名で有力ともいわれています
また、しいたけの学名は「Lentinula edodesu(レンチィヌラ エドデス)」だそうです
この「エドデス」は、ギリシャ語で「食用となる」という意味に由来する単語から来ていると言われていますが・・・
椎茸自体の「菌」としての歴史的論文は1875年にイギリスの調査隊が東京でしいたけを発見し、本国に持ち帰ったことから「江戸です」という名前が付いたという俗説もあるようです
恐らく前者が由来である可能性が高いのでしょうが、日本の代名詞ともいえる「桜」の代表格ソメイヨシノの学名は江戸にちなんで命名され「yedo」とついているらしいので、あながちあり得ない話ではないかもしれません
椎茸の栄養価
そんな椎茸の栄養価はどうなっているのでしょうか?
まずはカロリーと糖質から
- カロリー:19kcal
- 糖質量:1.5g
- 食物繊維:4.2g(3.8g)
これは100g当たりの数字で()内は不溶性の食餅繊維量です
これはぱっと見でも前回、前々回にご紹介した「玉ねぎ」や「人参」と比べてもカロリー・糖質量の少ない食材であることがわかります
さらに注目してほしいのは、食物繊維量
100gあたり4.2gという数値は、同じ重さで比べた場合、食物繊維が豊富といわれるさつまいもやかぼちゃよりも多く、不溶性食物繊維に限って言えばごぼうよりも多い数値
サラダによく使われるキャベツやレタスと比べても、椎茸の方が糖質量は低く、食物繊維は多く非常に優秀な食材といえるでしょう
ちなみに不溶性食物繊維というのは胃や腸で水分を吸収して膨張し、腸を刺激して便通を促進する作用のほか、腸内の有害物質を体外に排出する働きを持っています
椎茸はうま味の強い「美味しさ」にとどまらず、カロリー制限、糖質制限に加え、日頃不足しがちな食物繊維も補える観点からみても非常にお役立ち食材なのです
エリタデニン
椎茸の中でも特に特徴的なのが「エリタデニン」と呼ばれる特有成分
エリタデニンには肝臓の働きを助け、血中の悪玉(LDL)コレステロール値を下げる効果があり、血流をスムーズにし、血圧を低下メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防効果が期待できます
現在では様々な種類のきのこがスーパーに並びますが、このエリタデニンを含むのはキノコの中でも椎茸とマッシュルームのみ
そのうえ、マッシュルームにはごく少量しか含まれていないので、エリタデニンはもはや椎茸特有の成分ともいえます
高血圧や血液ドロドロが気になる人は、少し多めに摂ると予防や改善が期待できる椎茸をぜひ積極的に食事に取り入れましょう
ビタミンD
ビタミンDは体内のカルシウム代謝に重要な役割を果たす栄養素で、食べることで骨や歯が元気になるという栄養素です
正確にはビタミンDが直接多く含まれているというよりはエルゴステロールという成分が含まれておいて、これは紫外線を浴びるとビタミンDに変化します
一見「コレステロール」と間違えて嫌な成分に思えますが侮ることなかれ(笑)
それゆえに必然的にビタミンDは特に天日干しした乾燥椎茸に豊富に含まれることになります
上記の通り紫外線を当てることで増える特性がありますので、生の椎茸でも食べる前に傘の内側のヒダの部分を上にして2〜30分軽く日光に当てることで、より効率よくビタミンDを摂取することができます
最後に
今回は椎茸に含まれる栄養とルーツにまとめましたが、いかがだったでしょうか?
語源のエピソードから非常に親しみがわくとともに、カロリーや糖質の少なさに加え栄養価の高さからより一層の魅力を感じていただけていれば幸いです
今でこそ手軽に購入できるものの、かつては椎茸といえば高級品
年明け早々の今まさにである正月などのハレの日にしか味わえない貴重な食材だったとか・・・
日々の体調が気になる大人や成長期の子どものためにも、日本人にうれしい栄養とおいしさ、そして歴史がたっぷり詰まっているきのこ「椎茸」を日々の食卓にあげる頻度を増やしてみてはいかがでしょうか