説明を書く

実は優秀な大根の秘密

2022.02.08

冬の寒い時期に欠かせないおでんの具材といえば・・・断固として「大根」だと私は断言します(個人的見解w)

さて、この全体の約95%が水分である大根

栄養価的には密度と共にスカスカだと思われがちな食材ですが・・・調べてみるとどうしてなかなか、優秀な食材であることが紐解かれますので、本日はこの「大根」のご紹介をしていきましょう

気になる大根の栄養価

さて、先ほど記述の通り大根は焼く95%が水分の野菜ですが、実際のマクロはどのようになっているのでしょううか?

  1. エネルギー:15kcal
  2. たんぱく質:0.5g
  3. 脂質:0.1g
  4. 炭水化物:4.1g(うち糖質2.8g)

以前ご紹介した人参が100g当たり30kcalですから、その半分

ダイエットには非常に適した食材だといえます

そのほか大根には、むくみを防いでくれるカリウムや、免疫力の維持や美肌作りに欠かせないビタミンCが含まれていますが大根の本領はここにはありません

大根に含まれる酵素

大根には複数の酵素が含まれています

アミラーゼ

アミラーゼは唾液にも含まれる酵素ですが、でんぷんの分解を助ける役割を担います

でんぷんはブドウ糖が無数に結合したもので、そのままでは吸収されません

最小単位のブドウ糖にまで分解されて、小腸から吸収されることで、エネルギー源として体内で利用されようになります

一見すると「でんぷんを効率よく分解・吸収」と聞くと逆に太りやすいイメージにもつながりますが、効率よくデンプンが分解され口腔内でブドウ糖の甘味を感じることにより血糖値のインスリンの分泌量が抑えられて効率よくエネルギーを吸収することにより太りにくいともいわれています

プロテアーゼ

プロテアーゼはたんぱく質分解酵素です

たんぱく質は分解されてアミノ酸となり吸収され、エネルギー源となるだけでなく、筋肉・血液・内臓・髪の毛・爪などの身体の材料となることで知られています

プロテアーゼを上手に利用するためには・・・例えば肉・魚などのたんぱく質が豊富な食材を調理前に大根おろしに漬け込みます

こうすることでタンパク質が分解され肉質がやわらかくなって、食べやすくなるだけでなく、アミノ酸はうま味に関係しているものもあるので、たんぱく質がアミノ酸に分解されることで味わいを良くする効果も(理屈の上では)期待されます

リパーゼ

リパーゼは脂肪の分解を助ける酵素です

脂肪は胃での滞留時間が長いため、あまり胃腸の調子が優れないときや、油脂分の多いものを食べたときに、胸やけや胃もたれを起こすことがありますが・・・

油脂分の多い食材や揚げ物を食べるときに、大根おろしとあわせて食べるのはさっぱりとする意味合いも重ねて理にかなった食べ方ということができます

大根に含まれるもう一つの大切な成分

「生の大根=辛い」というイメージをお持ちの方も少なくいないかと思いますが、大根には「イソチオシアネート」という成分が含まれており、これが辛味の原因であると言われています

大根の辛味の原因であるイソチオシアネートは切ったりすりおろしたりして細胞が破壊されて酸素と触れることで発生します

このイソチオシアネートには優れた抗菌作用や血栓の予防効果があり、がんの抑制効果も期待できるといわれています

ちなみにこの辛み成分のイソチオシアネートは頭より先端部に向けて多く含まれており、 また皮目(外側)から中心に向けて減少していくことが知られている

辛みのある大根おろしは先端で、甘みのある大根おろしは上部を使うのが良いと言われる所以はここにあります

消化に役立つ大根の食べ方

さてここでまとめてみると「美味しく食べる」ということをいったん横に置き、効率よく大根の効能の恩恵を受ける食べ方と考えてみます

そもそも酵素は働く相手が決まっていて、1種類の酵素がでんぷんにもたんぱく質にも脂質にも働きかけるということはありません

大根はでんぷん、たんぱく質、脂質というエネルギー産生栄養素のすべてへ働きかけるそれぞれの消化酵素を含んでいるため、特に消化を助ける働きが期待できる食材なのです

ですが、残念ながら酵素は熱に弱く、加熱によって失活してしまいます

また強い酸にも弱いのですが、胃では食べたものは強い酸性にさらされてしまいます

その為、体内のどの時点まで消化酵素の効力が確かに発揮できるかは定かではないのです

消化酵素は大根を生のまま使用し、食べる前の段階で消化を助けてほしい食材とあわせておくことで効力がいかんなく発揮されます

またイソチオシアネートも熱に弱いという性質を持つため、生のままで利用したい点は共通しています

大根おろしを肉や魚と共に添えられてあしらわれるという古くからの文化には本当に脱帽しますね

具だくさんの大根サラダなども効率的な摂取の仕方といえそうです

最後に

大根は生でも加熱しても楽しむことができ、メイン食材にもなるし付け合わせにもなる万能な食材です

「美味しい料理」を作り楽しんでもらうことを生業としている私としては、「効率的な栄養や効能」だけを求めて調理をするのはナンセンスだと思いますが・・・(笑)

きちんと性質を理解して効力が発揮できる使い方を理解して調理することにより、より幅広い食事を堪能できるかと思います

皆さんも頭の片隅にしまっていただければ幸いです

さて・・・美味しいお伝の大根が食べたいなぁ(←矛盾)

1,2,8,9,15,16,22,23,30

1,7,8,13,14,20,21,27,28