塩の効果を知る
2022.02.22
「料理」といえば、切っても切り離せない「塩」
料理の基本中の基本といっても過言ではないかもしれません
昨今は「塩分控えめ」が推奨され、高血圧の原因ともして過剰摂取に警鐘を鳴らされているのもよく見聞きしますが、一方で人体に欠かせない不可欠な要素でもあります
ですが、本日は健康面ではなく「料理」における塩の役割をおさらいしましょう
日々なんとなく行っている塩での調理・・・
塩が素材にどんな効果を与えるのか、確認しておくとより料理に失敗が起きにくくなりますよ
塩味をつける
まずはもはや説明不要ともいえる「味付け」の効果
先にも説明した通り、塩は人体に必要な要素
そういった要素を含む味わいは本能的に「美味しい」と感じるようにできています
「糖分=エネルギー」となる「甘味=砂糖」もそうですし生きていく上で必要な「味」は「美味しく」感じます
逆に「腐ってる」「毒」などに多い「苦い」「酸っぱい」「くさい」などは、本質的には不快な味としてとらえられます(現代ではその限りではありませんが)
逆に塩や砂糖も多すぎれば不快な味になりますし・・・人体とはよくできたものですね
ちなみに人の身体の体組成としての体液内の塩分濃度は0.9%だと言われています
ですから人が食べる食物の塩分濃度も1%前後が心地よく食べられる濃度とされていて、
人がしょっぱいと思う海水は約3%
昔ながらの口がすぼまるしょっぱい梅干しは20%です
組み合わさる味わいの要素によって一概に塩分濃度だけで「ちょうどよい塩加減」になるとは限りませんが、知識として頭の中に入れてい置くと味の薄い濃いを調理時に悩む悩みが減りますよ
素材の美味しさを引き出す
これは「塩」に限った話ではないのですが味の基本の5味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)には対比効果や相乗効果があります
スイカや小豆(あんこ)などに塩を加えることにより素材の持つ「甘味」をより顕著に感じるようにできたり、
味噌汁やお吸い物に出汁を入れることにより、通常旨みだけでは味を感じにくいのですが、うま味+塩味 でよりうま味が際立ちます
水を引き出す作用
皆さんご存じ?「浸透圧」です
塩には食材から水分を出す効果があります
きゅうりやナスなど野菜に塩をかけて置いておくと、水分が出てくるのを経験したことがある方が多いのではないでしょうか?
食材の細胞膜の内と外で濃度に差異がある場合、薄い方から濃い方に水分が移動する「浸透圧」という作用です
ちなみに砂糖や酢も浸透圧の効果がありますが、塩の方が浸透圧が高く、
水を引き出すのに適しています
水を保つ作用
先ほどと相反する効果のようですが・・・肉・魚に塩をかけると、塩によってタンパク質が溶け、粘性を帯びた状態にます
結果として水分を内部に残しやすくなり、焼いたときに肉質がプリっとなるのです
またカマボコなどのすり身食品もこの性質を利用し、魚のすり身に塩を加えて練ることで、独自のプリプリした食感を作り出しています
食品の変色を防ぐ
ほうれん草や小松菜といった青菜やブロッコリーなどを茹でる時に、塩をひとつまみ入れると緑色が鮮やかなまま保てると聞いたことはあるでしょう
また、また、りんごを切ったまま置いておくと、切り口が茶色に変色してしまうが、塩水につけるとことで変色を抑制することができます
厳密にいうとこの2つの作用は別物ですが、「色」に対しても塩は効果的に働いてくれます
細菌の繁殖を防いでくれる
魚介類の塩辛や、漬物、生ハムなど、塩漬けすることにより食品を保存加工する技術は昔から世界各地で使われてきました
味噌や醤油、梅干しも塩蔵食品の一部ですが、なかなか腐りません
食材が腐るのは、細菌やカビなどの腐敗菌が増殖するからですが、塩は先ほど説明の浸透圧の効果により腐敗菌が活躍するために必要な水分まで奪ってしまいます
よって腐敗を止め、食品の長期保存が可能となります
まとめ
塩は、料理の出来上がりに大きく関係する「縁の下の力持ち」です
そんな塩も「なぜ塩をかけるのか」に対してそれぞれ意味合いがあることがわかりました
日々何気なく使っている影の主役の「塩」も、その意味合いを理解して使いこなすことで、料理上手への道が開けていきますので、ぜひ頭の片隅に入れておいてみてください