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フライパンの選び方

2022.05.31

オープンキッチンの厨房で日々料理をしていると、我々の使う調理器具に興味を持ってくださるお客様がチョコチョコといらっしゃいます

そんな中でも特に話題に上がることが多いアイテムがフライパン

どんな料理にどんなフライパンが向いているのか、といったお話になることがよくあります

今日はそんなフライパンについてサラッと説明してみましょう

家庭で使う主なフライパンの素材

皆さんは新しいフライパンを選ぶときに何を基準に選んでいるでしょうか?

大きさ、値段、などいろいろ吟味する点があるかと思いますが、一番気にされるのは素材ではないでしょうか?

フライパンの素材によってそれぞれの特徴があるのでご説明しましょう

以下、著者による独断と偏見の塊の早見表です(笑)

鉄      :熱伝導〇 軽さ△ 手入れ△ 耐久性◎

ステンレス  :熱伝導△ 軽さ△ 手入れ〇 耐久性◎

アルミ    :熱伝導◎ 軽さ◎ 手入れ〇 耐久性〇

コーティング :熱伝導〇 軽さ◎ 手入れ◎ 耐久性△

なんとなくイメージが湧くでしょうか?

それぞれ簡単に説明していきましょう

鉄のフライパン

まずは皆さんが一番敬遠しそうな鉄フライパン(笑)

実は比較的扱いやすいフライパンです

唯一のポイントは空焼きと油慣らし

新品の鉄製フライパンには、防サビ加工がされているため、まずは熱でこの加工を焼き切る必要があります

この工程は、フライパンに何も入れずに、焼いていくので"空焼き"と呼ばれています

一方、油慣らしとは空焼きのあとに油を入れながら加熱し、フライパンの表面に油をなじませることで、焦げ付きやサビの防止をする工程のことです

使用前の大事なポイントはもはやこれだけ

もちろんひと手間ではありますが、のちの使い勝手を考えれば大した問題ではありません(多分)

蓄熱性、耐熱性、耐久性に優れ、フライパンの温度を上げることができ高温調理での短時間調理が可能です

中華鍋で作る、強火で短い時間でサッと加熱した野菜炒めのおいしさは魅力的ですよね

またステーキなど、お肉の表面をカリッと焼き上げるのにも向いています

焦げ付きやすいのでは?という声も聞こえてきそうですが・・・大事なポイントはフライパンをきちんと温めてから素材を入れること

また、お肉やお魚などのたんぱく質を焼くときは、素材をなるべく常温に戻しておくこと

また極力水分はふき取ってからフライパンに入れること

この3点です

話がそれますが、なぜお肉や魚がフライパンにこびり付いてしまうのかの説明を少しだけしましょう

原因は温度とタンパク質と水分

フライパンに食材がくっつく、ひっつく原因の1つが温度です。

フライパンの表面には「吸着水」と言う目に見えない水分が付いています。

一件、乾いているように見えるフライパンにも、吸着水は付いています

フライパンに食材を入れると、食材のたんぱく質が吸着水に溶けだす → 吸着水に溶けたたんぱく質が糊のような役割をはたし、フライパンの金属と結合するという現象が起きます

これが「くっつく」簡単な原理です

ちなみに、このくっつきやすい温度が80度未満となっています

ではどうすればよいのか?

まずは単純明快、フライパンの温度をきちんと上げてから食材を投入すること

このくっつきやすい80度を超えることに加え、高い温度で加熱することによりこの吸着水を蒸発させることができます

また、素材を極力暖かい状態で投入することにより、フライパンの温度をなるべく下げないことも大事なポイントです

また、お肉やおい魚を焼く際には、あまり無駄に素材を触らないことも一つのポイントです

お肉やお魚は加熱されることにより水分が絞り出されてきます

表面がきちんと焼き固められていないうちに素材をいじくることにより、この肉汁(魚汁)がフライパンと接触することにより、フライパンの温度が下がることと、新たな吸着水の供給というダブルパンチが起こります

追記:書き忘れていましたが、皆さんご存じ?使用前にきちんと油を使ってフライパンをコーティングすることもこびり付きを防ぐ大切なポイントです

ステンレスのフライパン

こちらは個人的には一番使いにくい素材でもあります

熱伝導が非常に悪く、余熱として温めようにもなかなか温度が上がりません

鉄との熱伝導の差、なんと約5倍

たいてい、うっかり

温度が上がりきる前に食材を投入してしまうので非常にこびり付きやすい厄介なフライパンです(笑)

ただし、非常に丈夫な上、手入れが楽で保温性も高く、個人的にはこびり付く心配の少ない水分の多い調理法(茹でる・煮る、等)に使う分にはお勧めできる素材です

アルミのフライパン

アルミニウムは、軽さと熱伝導率の良さが特徴の金属素材です

私も愛用していますが、イタリアンでパスタやリゾット用に使われることが多いのがアルミニウム製のフライパンですね

熱伝導が良いので、火加減によって加熱温度を即時にコントロールしやすいのがメリットです

逆に熱伝導が良いということは冷めやすいということでもあります

お肉やお魚を入れると急激に温度が下がてしまうので、こびり付きやすなる為、焼き物や炒め物にはあまり向きません

その為ステンレスの鍋とは真逆な素材のはずなのに、用途としてはソースなど水分が多く入る煮込みやパスタ、リゾットなどに向いているのです

であれば、重さの軽いアルミを選ぶことが多いのが飲食店での実情です

ただしアルミよりステンレスの方が熱に強く耐久性も高いこと(アルミはあまり高温で熱しすぎると変形します) また、アルミはIHに対応しない素材なので、その点ではステンレスに分があります

それぞれの環境にあった素材をチョイスしましょう

コーティング素材のフライパン

正確にはフライパン自体の素材ではありませんね(笑)

皆さんご存じ?「テフロン加工」が代表する金属ベースのフライパンの表面に「ふっ素樹脂加工」や「セラミック加工」などの内面コート加工を施されたフライパンです

これは、先ほど説明した「吸着水」が限りなく少ない状態を保つ加工です

だから油をひかなくても、低温で焼いてもくっつかないんですね

またそのおかげで汚れも非常に落としやすいのも特徴です

一方、コーティング加工のフライパンのデメリットは「消耗品」であること

内面コートは徐々に摩耗し、だんだんとこびりつきやすくなってしまいます

半永久的に使うことは不可能で、いずれ買い替えどきがきてしまうのです

いかに内面コートを維持するかが長く使うポイントなのですが、基本的にこの内面コートは「高温」に強くありません

フライパンの使用用途と相反するようですが(笑)、今まで紹介した素材のフライパンとは真逆で、強火や高温には要注意です

料理としても弱火や中火でじっくりと火を入れる調理に向いています

また、内面コートが重要なフライパンなので、洗う際にもスポンジを使い優しく洗いましょう

極端な話、あまり汚れていなければペーパーや布巾できれいにふき取ってあげればよい時もあります

まとめ

個人的に自宅で使うには、まずは扱いやすく汎用性の高いコーティング素材のフライパンがおススメではありますが、お料理に興味があって使い分けが可能であればぜひ鉄やアルミ(IHならステンレス)のフライパンを、調理法や素材によって使いわけてみると、いろいろと見えてくる幅が広がるのでお勧めです

是非参考にしてみてください!

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