栄養素と効能から紐解く食材図鑑 ~和梨~
2022.09.05
シャキシャキとした歯ごたえとみずみずしい味わい・・・梨が並びだすと秋の始まりを感じます
このみずみずしい果物は何と弥生時代から栽培されていた、とも言われています
今回はそんな水分の多さと噛んだ時のシャッキリした特徴的な食感
芳醇ながら、非常にすっきりとした甘みが魅力的な和梨について簡単に学んでいきましょう
和梨は追熟しない
果物といえば常温保存をしておけば徐々に熟れて甘みが増すので、食べる前に冷蔵庫に入れて常温保存しましょう・・・というものが多いですが、和梨はこの追熟がありません
収穫された和梨は、木から離れたあと梨自身の水分や糖分を使って呼吸をします
そのため、時間が経つと逆に水分や甘味などが抜けてしまうのです
買ってきたら冷蔵保存して、なるべく早めに食べた方が美味しくいただけます
ただし洋梨は逆に追熟する果物・・・大抵は若摘みされたものが追熟前提で収穫されているのでご注意を
梨の種類
先ほど梨の栽培は弥生時代から、と話題がありましたが、
日本では梨の栽培は比較的歴史が深く盛んだったようで、江戸時代にはすでに100品種以上もあり、今の千葉県あたりで盛んに栽培されていたそうです
明治になり、千葉県で二十世紀、神奈川県で長十郎が発見され、この2つの品種が代表格となりました
今では様々な品種が栽培されていて、皮が茶色系のものを赤梨、黄緑色のものを青梨と呼んでいます
赤梨
幸水と豊水が有名な皮が黄褐色の和梨で、この2種類で日本の梨全体の生産量の約6割以上を占めているそうです
- 日本の代表的な梨
- 形は横幅があり扁平
- 果肉が緻密で柔らかく多汁
- 甘さが強く人気が高い
- やや大きめ
- 甘味も酸味もあり味がよい
- 食感は柔らかく、比較的日持ちする
そのほかにも
・瑞々しく味わいは上品、大きい物では1キロにもなるビックサイズの「新高」
・丸さと大きさがあり、果肉の柔らかく貯蔵性の高い「新興」
・古くからある晩生品種で、多汁で柔らかい、あっさり味の「晩三吉」
・新高と豊水の掛け合わせ。大きくて食べごたえがある「にっこり」
などなどの品種があります
青梨
皮が黄緑の青梨といえば「二十世紀」
現在では幸水や豊水などの赤梨系が主流ですが、二十世紀梨の持つ独特の味への根強いファンも多く、平成21年度のデータによれば品種別生産量では4番目に多く梨全体の1割程度を占めています(1位は幸水で約4割)
- 青梨の代表的な梨
- 鳥取のブランド梨
- 果汁が多く甘い
- 二十世紀をより甘く改良した
- 元々の名称は「瑞秋」
和梨の栄養価
和梨は100g当たり88gを水分が占める非常に瑞々しい果物
残り12gには何が含まれているのでしょうか?(笑)
- 炭水化物 11.3g
- たんぱく質は0.3g
- 脂質は0.1g
- ミネラル類0.3g
・・・栄養価的にほぼ水分と炭水化物ですね(笑)
とはいえ、微量ながら特徴的な成分も含まれています
通常の糖類と比較して、低カロリーなうえに虫歯になりにくいといった特徴のある「ソルビトール」
言わずと知れた「食物繊維」は100g中0.9gのうち、溶けだしにくい不溶性が0.7g
体内の余分なナトリウム(塩)を排出する働きがあり、高血圧の予防に役立つ「カリウム」
体内のたんぱく質合成に欠かせない「アスパラギン酸」はエネルギー代謝の促進などの効果も期待できるうえ、疲労回復効果も・・・
活性酸素の働きを抑制する機能により、動脈硬化、ガン、老化、免疫機能の低下などを防ぐ効果が期待できる抗酸化物質の一つ「ポリフェノール」
栄養価・・・とは少しずれますが、肉を柔らかくする酵素として知られているタンパク質の分解酵素「プロテアーゼ」
などなど
一見すると、とても健康的な果物に見えます(実際はほとんど水分ですがw)
まとめ
梨は水分量が多く、残りは炭水化物がほとんどを占める果物ですが、微量ながらも健康効果が期待できるさまざまな栄養成分も含まれています(笑)
とはいえ、甘いわりには低カロリーなので、食後のデザートとしても嬉しい和梨
旬真っ盛りの美味しい今をぜひ堪能しましょう! (買ったり貰ったりしたら早めに冷蔵庫に入れるのを忘れずに)