説明を書く

やりがちだけど、やってはいけない調理法

2022.09.13

古くからの慣習や、おばあちゃんの知恵袋は実際に理にかなっていた・・・なんてことは沢山ありますが、

逆に現代の科学では「実は間違っていた」なんてことも沢山あります

料理に関してもまた然り・・・

皆さんが信じて疑わなかった「あの習慣」も実は逆に料理のおいしさを損なっていた、なんてこともあるかもしれません

今回はそんな誤解をされているかもしれない料理のイロハについて、誤解を解いていきましょう・・・

塩は肉を焼く直前に振るとジューシーになる

肉がパサつくので焼く直前に塩は振らない

いやいや、反対のことを言ってますけど、どっちやねん!

となりますよね(笑)

とはいえ、どちらかを聞いたことがあって、盲目的に信じている方、いらっしゃらないでしょうか?

いずれにしてもどちらも「間違い」なんですが(笑)

ポイントになるのは「直前」ということ

双方に言えることが、「肉を焼いている間に塩が肉に沁み込む」ということが前提に述べられていることなのですが・・・

まず肉を焼くという行為は、肉自体に含まれる水分が外部に流出することを意味します

そして「塩」はこの水分の動きに逆らうことができません

ですので、肉を焼いている間に塩が肉そのものの内部に入ることはおろか、何ら影響を与えることができません

また焼かれた肉の表面には硬い層ができるので、物理的に塩が内部に浸透することもできないのです

ですので、肉を焼く直前に振った塩はジューシーにもパサパサにも影響は全くないのです

なので、下味としてお肉に塩を振るのであれば「直前」ではなくもっと前から塩を振っておく必要があります

ちなみにお肉に塩を振ると浸透圧の作用で表面にお肉の水分が浮き出てきます

そこからある程度時間がたつと浮き出した水分に塩が溶け込み、お肉自身が表面に浮き出た水分を毛細管現象で再び吸収します

お肉の種類や切ったときの繊維の向きなどにもよりますが、再吸収が終わるまで約35~40分といわれています

なので、お肉自体に下味をつけたいのであれば、調理の30分以上前に塩を振っておきましょう

もちろん直前や調理中に塩を振るな、というわけではありません

もちろん振った分だけ全体としての「塩味」は付きますから(笑)

「お肉を焼く直前に塩を振る」という行為自体には良い効果も悪い効果もありません・・・というお話です

焼く前に下味として塩胡椒を振る

先ほどのお話の延長戦のようですが今回の主題は「胡椒」の方

胡椒はそもそも塩と違い、どうしようにも物理的に肉の内部に浸透することはありません

塩は結晶で構成された鉱物(ミネラル)ですが、胡椒は「果実」です

鉱物はものと条件にによって溶けますが、果実は溶けません

肉には沁み込まないのです

肉に振られた胡椒は、焼かれている間に肉汁に流されて肉からははがされたり、焼いた時の蒸気で吹き飛ばされたり、肉からは接触量が失われていく一方です

またここからが大切なのですが、胡椒の香りは熱に弱く、40度を超えると胡椒の持つ良い香りは失われると言われています(というか、実際に香りが飛びます)

結局、残るのは軽い苦みとピリピリした刺激のみ・・・

胡椒は料理が出来上がった後に振るようにしましょう

ローストビーフは作る1時間ほど前に肉を常温に出しておく

いや、完全に間違っているわけではないんです

1時間では全然足りなくて逆効果なんです

ローストビーフで大事なのは極力中心温度(焼き上がり)と外側の焼き上がりの状態に極端なムラを出さないかが大事です

中心は生だけど、外側がパサパサ・・・というのが失敗例の筆頭です

そんな失敗を極力減らすためにはお肉の温度をなるべく一定にしてあげること

そして、お肉を冷蔵庫から出して1時間程度だとまだまだ中心部は冷たく、表面は常温に近づいてしまいます

外側のパサつきを防ぎたいのに、焼く前から外側の温度が高いようでは逆効果です

一例ですが厚みが5センチの牛ブロック肉(ローストビーフを作るとしたらかなり小さめ)のお肉でも冷蔵庫から出した塊を外側から中心まで常温に戻すのには4~5時間かかります

ちなみに1時間だと外側と中心とでは10度近く温度差がある状態です

これだけ温度差が出てしまうのであれば、1~2時間常温に出しておくより、冷蔵庫できっちり一定の温度の冷たい状態から火を入れ始めた方が、時間はかかりますが焼きムラの少ない上手なローストビーフが出来上がります

また、空気よりは水の中の方が温度が早く伝わります

より上手に早くローストビーフを作るには、流行りの(?)真空調理の原理を借りるとよいでしょう

空気を抜いた密封袋にいれて、常温のみずにつけておけば、空気中の常温に出しておくよりはより早く中心まで温度が温まります(空気中常温4~5時間のサイズで水中だと30分~1時間)

ただし、水の量やお肉の大きさによっては、水の温度も冷えてしまうので要注意です

さて・・・

今回は巷にあふれる料理界の都市伝説について、間違ったことを訂正してみました

振り返るとお肉系のお話ばかりでしたね(笑)

気が向いたらそのうち魚編や野菜編があるかもしれません

期待せずにお待ちください(笑)

1,2,8,9,15,16,22,23,30

1,7,8,13,14,20,21,27,28