栄養価から学ぶ食材図鑑 ~柿~
2022.11.01
秋冬の旬食材「柿」
古来より日本でもなじみ深い果物であるであるものの、若干渋い存在で華やかなイメージが薄いのではないでしょうか?
人によっては「実家の庭に植わっていた」という人もいることでしょう
今日はそんな柿が明日にでも食べたくなる?ようなプチ情報をお届けします
甘柿と渋柿
柿は日本を含む東アジアが原産で、西洋には日本から伝わったため、学名も「kaki」
英語では「persimmon」ですが、比較的世界各国「kaki」で伝わるとか・・・
柿は大きく種類を分けると甘柿と渋柿に大別されます
現在、最も市場に出回っていて我々がスーイトルパーでよく目にするのは「富有柿」
柿全生産量の約四分の一を占めています
富有柿はそのまま食べておいしい甘柿ですが、実は甘柿は渋柿の突然変異種と考えられていて、世界中で約1000種ほどあるとされている柿での中で、なんと甘柿はそのうち十数種類ほどしかないそうです
渋柿と甘柿の違いは、皆様ご存じ?強い渋みを持つ「タンニン」という成分にあります
渋柿にも甘柿にも、もともと水溶性のタンニンが含まれているのですが、甘柿の場合は熟すとタンニンが不溶性に変化するため、口に入れてもタンニンが溶け出さず、渋みを感じることがありません
一方の渋柿は、実が熟してもタンニンはそのまま水溶性であるため、口に入れた瞬間にタンニンが溶け、渋みを感じるのです
甘柿にタンニンがないわけではなく、「感じられない」ようになっている、ということですね
ちなみにこの渋柿をタンニンを感じさせないように加工して美味しく食べられるようにしたものの筆頭が「干し柿」
水分をじっくりと飛ばし乾燥させることによって、柿の中で水溶性のタンニンが不溶性に変化することによって渋みを感じず、甘さの凝縮した干し柿になります
また、東京ではあまりなじみがないですが(私調べw)、柿の生産が盛んな地域では渋柿を様々な工夫により「渋抜き」をして、甘柿と同じように生のまま美味しく食べられるようにしています
ものによっては普通の甘柿より糖度が高く、甘みのあるジューシーな柿の少なくないので未経験の方はぜひ探してみてください
柿の栄養価
可食部100gあたりのカロリーは63kcal、糖質は14.3g(ともに甘柿)
他の果物に比べて高くも低くもない中庸的な立ち位置(笑)
その割に比較的甘味を感じやすい果物なので、お菓子の代わりのデザートという意味では非常に優秀ではないでしょうか?
そして柿に含まれる主な栄養価として・・・
ビタミンC
皆さんおなじみビタミンÇ
一個で一日の必要量を補うことができます
風邪やインフルエンザ予防などに加えアンチエイジングにも効果的???
βカロテン
こちらも何度も登場βカロテン
体内でビタミンAに変換されて皮膚や粘膜などの上皮細胞の働きを助ける効果があり、美肌効果が期待されます
ちなみにこのβ-カロテンは、水分が凝縮されているせいもあり、干し柿の方が生の柿よりも多く含まれます
βクリプトキサンチン
もはや覚えられる気がしない名前ですが(笑)ビタミンCと合わせて、強い抗酸化作用が期待できる栄養価です
免疫力の向上や美肌美白効果、アンチエイジングなど老化防止にも一役買ってくれます
タンニン
出ました、「タンニン」(笑)
何よりのお茶で有名ですが、血圧上昇を抑制する効果があるとされています
また、柿の独特な渋みの元になっているタンニンの一種、シブオールという成分に、アルコールの悪い作用を抑える効果があるため、「二日酔い防止に柿が良い」といわれる所以はこれにあります
カリウム
こちらも何度か登場、カリウム
体内のナトリウム吸収を抑制し、排出してくれます
タンニンのアルコール吸収抑制作用とカリウムの利尿作用のダブルの効果で二日酔いから復活できる・・・かもしれません(笑)
このカリウムもβカロテン同様、生柿よりも干し柿の方が豊富に含まれます
二日酔いに柿、の理由
先ほども少し出てきた「二日酔い防止に柿」
その理由の主な要因は渋みの元にもなっている栄養素「シブオール」です
シブオールはタンニン系ポリフェノールの一種で、渋みのない甘柿にもシブオールはしっかり含まれています・・・ご安心ください(笑)
このシブオールはアルコールの吸収を防いでくれるうえ、ビタミンCとの相乗効果により、アルコールの分解及び排出を促進する働きが期待されています
さらに柿には、アルコールデヒドロゲーゼと呼ばれる酵素も含まれ、これもアルコール分解を助ける働きがあるそうです
さらにカリウムによる利尿作用も加わることにより、柿のいろいろな栄養素が、二日酔いの緩和に、多大な効果を発揮してくれる、というワケです
とはいえ・・・
今のご時世、二日酔い対策のドリンクや錠剤が手軽に手に入る中、敢えて「柿」に頼る人もなかなかいないのが実情でしょう
頭の片隅に入れつつ、翌朝の朝食替わりにでも検討してみてはいかがでしょうか?
何はともあれそれ以前に「飲み過ぎ」を回避すればよいのですが・・・(笑)
本日のまとめ
食欲の秋、果物の秋といわれ、華やかなフルーツも多く出回る秋
一見地味に思える柿ですが、栄養化の面では負けていません
そして何より甘柿、渋柿、干し柿と美味しさをバリエーション豊かに堪能できます
ちなみに、柿にかかわることわざに「桃栗三年柿八年」というものがありますが、園芸の世界でも実際に柿は種から育てて収穫するまでに6、7年はかかるといわれているといます
柿を美味しく食べながら、柿についてのあれこれを話題にしながら今日のプチ雑学を披露して、会話も盛り上げてみてはいかがでしょうか?(笑)