地鶏と銘柄鶏とブロイラー
2023.01.11
少し間が空いてしまいましたが、新年初めての投稿です
定型文でありますが・・・あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします
さて、前回は牛のお話だったので、せっかくの流れ
今回は鶏についてのお話にしましょう
スーパーに並ぶ鶏肉も「○○鶏」とブランド名があるものと「国産若鳥」とだけ表示されているもの
もちろん家計にやさしい輸入鶏もありますね
地鶏・銘柄鶏・国産(輸入)若鳥・そしてよく耳にするブロイラー
いったい何が違うのでしょうか???
地鶏とは
まず地鶏の説明からいたしましょう
「地鶏」と聞くと所謂ケージの中ではなく、平飼いされて屋外飼育された鶏、といったイメージでした・・・若かりしかつての私は(笑)
皆さん、いかがでしょう?
実際のところ、「地鶏」には明確な基準があります
- ・在来種純系もしくは在来種を片親か両親に使っていること(在来種の血が50%以上)
- ・飼育期間が孵化日から80日以上あること
- ・孵化から28日以降は1平米あたり10羽以下の環境で平飼いされていること
この条件を満たす鶏のみが「地鶏」を名乗ることができます
ちなみに「在来種」と呼ばれる品種は38種
前回の「和牛」の4種に比べれば品種の種類としては多いうえに100%の純血ではなくてもよい条件を考えると、一見比較的甘いようにも感じますがその実
現在日本で生産される鶏肉のシェアのうち「地鶏」を名乗れる鶏肉は約0.7%(令和2年調べ)と非常に少ないことを考えると、とても厳しくなかなか割の合いにくい生産条件であることがわかりますね
ブロイラーとは
皆さんも耳にしたことがある?ブロイラーはどういった鶏肉のことでしょうか?
ブロイラーとは英語の「ブロイル(broil)」名前の語源となっています
ブロイルは、肉を炙る、オーブンで丸焼きにするなどの意味で、「ブロイル用に適した鶏肉」=「ブロイラー」という名前になりました
実際のところブロイラーとは品種の名前ではなく、「効率よく育つ肉用種」の総称です
現在のブロイラーは50日前後で体重が出荷に適する2.5キロ以上に育つというのが標準的ですが、すでに国内では48日で3キロに達するものも少なくないそうです
先ほどの日本の在来種の多くが、2.5キロに達するのに100日以上かかると言われているので、ブロイラーはとてつもない速度で成長するということがおわかりかと思います
短期間で成長、出荷するということは餌代も少なくて済みますし、鶏舎の回転も上がります 養鶏業界においては育成日数(出荷日)が数日違うだけで大きくコストが変わると言われている業界です
値段の違いが明確にわかり納得です
地鶏は味わいや香りが濃く、身質がしっかりしているのに対し、
ブロイラーは地鶏と比べると育成期間が短く、運動量も少ないので味わいがニュートラルで実が柔らかいのが特徴です
地鶏でもない銘柄鶏とは
「○○鶏」というブランド名は付いているけれど「地鶏」ではない所謂「銘柄鶏」とは何でしょうか?
結論から言うと基本はブロイラーと変わりません
鶏肉に銘柄を付けるのに基準は全くないのです
ブランド名が付かないものは「国産若鳥(=ブロイラー)」として販売されています
ただし、先ほど挙げた数字のように「地鶏」といえる鶏肉の生産は全体の1%未満の中
残り99%のシェアを「同じ」条件で奪い合うのも商売の中では厳しい戦争です
そんな中、「地鶏」の条件は満たせないけど、限られた範囲の中で「より美味しい鶏肉」を目指そうと育成方法に工夫を凝らした鶏を差別化して売られているものが「銘柄鶏」となって販売されています
餌の工夫をしたり、いわゆるブロイラーより長く肥育したり、育成密度を減らしてみたり・・・と
効率を追求されたブロイラーに、それぞれが付加価値を加えて(たいていは)より美味しさとコストのバランスをとって満足度を上げたものが銘柄鶏です
決まりがない分、銘柄鶏の差はほぼ国産若鳥(ブロイラー)と同じものから、地鶏に近いものまでかなり大きいですが、
良心的な銘柄鶏は、国産若どりに比べ、はっきりと味わいの面で差別化でき支持を得られます
まとめ
というわけで、鶏肉の違いをご理解いただけたでしょうか?
高い地鶏なら必ず美味しいか?というと、肉質の硬さや味や香りが濃い分だけ好みがわかれるというのが実情かと思います
またブロイラーが不味いかというとそんなことは決してなく、味をしっかりとしみこませるから揚げや煮込み、カレーなどでは差が出にくいです
用途や味わいを吟味したうえで、それぞれに合ったお気に入りをぜひ探してみてください