イーストとベーキングパウダー
2023.06.20
皆様ご存じ、パンやお菓子を作るときに生地を膨らませるために使われる材料には、ベーキングパウダーとイーストがあります
どちらも炭酸ガスを発生させて生地をふくらませる働きがありますが、その仕組みや使い方、仕上がりには違いがあります
今日は、ベーキングパウダーとイーストの違いと、それぞれの特徴に合わせた効果的な使い分けについて説明しましょう
ベーキングパウダーとは
ベーキングパウダーとは、重曹(炭酸水素ナトリウム)に酸性剤と遮断剤を加えた合成膨張剤です
重曹はアルカリ性の物質であり、生地が黄色くなったり(例えばどら焼きの生地など)苦みが出たりする特徴があり「熱」によってガスが発生し生地を膨らませる特徴があります
それに対して酸性剤が重曹とのアルカリ性を中和することにより生地が黄色くなってしまったり、苦みが発生するのを防ぐ役割と共にその中和に伴いガスが発生します
遮断剤は、コーンスターチなどのデンプン類であり、重曹と酸性剤が保管中に反応してしまうのを防ぐ役割を担い、水分が混ざることにより役割を終え重曹と酸性剤が混ざりベーキングパウダーとしての仕事を始めます
というわけで、ベーキングパウダーは「熱」と「水分」によって化学反応を起こして炭酸ガスを発生させます
水で混ぜ始めたと同時にガスが発生し始めるので、生地を寝かせる必要はなく、すぐに成形や焼成に取り掛かれます
むしろ、ベーキングパウダーが入った生地は水分に反応してどんどん炭酸ガスが発生してしまうため、長時間寝かせることはせず、なるべく早めに焼成するのがポイントです
ただしベーキングパウダーで作った生地は膨らませる力があまり強くないので、サクサクした軽い食感に仕上がります。
イーストとは
イーストとは、パン酵母(イースト菌)と呼ばれる微生物です
イースト菌は自然界に存在する菌であり、パン作りに適した種類のものを人工的に培養したものが一般的です
イーストは生地中の糖分を餌にして分解し、炭酸ガスとアルコールを発生させます
この炭酸ガスをグルテン膜の中に保持することで生地をふくらませます
イースト菌は菌(生き物)であるため、餌を食べ始めてからガスを発生する「発酵」をするには時間が必要である上、適切な温度管理が必要になります
イーストで作った生地は膨らませる力が強く、ふわふわやわらかな仕上がりになります。
ベーキングパウダーとイーストの使い分け
ベーキングパウダーとイーストはそれぞれの特徴に合わせて使い分けることが大切です
ベーキングパウダーは薄力粉のような粘りの少ない粉をふくらませるのに向いていて、焼き菓子や蒸しパンなどに使われます
対して、イーストは強力粉のような粘りの強い粉をふくらませることが得意な為、パンやピザなどによく使われます
中には、中華まんなど、ベーキングパウダーとイーストを併用するものもあります
これらは中力粉を使うような生地であり、ベーキングパウダーだけでは軽すぎてふわっとしないし、イーストだけでは重すぎてもちもちしないという時に、ベーキングパウダーとイーストを併用することで、ふわっともちもちのバランスの良い生地に仕上げることができます
ベーキングパウダーの膨らませる要因「水を混ぜる」ことによる効果は失われますが、「熱」による効果が期待されます
まとめ
ベーキングパウダーとイーストは、原材料や仕組みや仕上がりに違いがあります
ベーキングパウダーは水分と熱によって化学反応を起こして炭酸ガスを発生させる合成膨張剤であり、サクサクした軽い食感の生地に仕上がります
対して、イーストは生地中の糖分を分解して炭酸ガスを発生させる微生物であり、ふわふわやわらかな仕上がりになります
それぞれの特徴に合わせて使い分けることで、おいしいパンやお菓子を作りましょう!.