飲食店における「おススメ」の仕方、され方 (料理編)
2021.12.28
おススメに必要なこと
例えば家電量販店に行った時 いきなり「おススメどれですか?」 って聞かないですよね?
例えば・・・
テレビを探してるんですけど・・・とか
予算は〇〇円位で・・・とか
サイズはこのくらいで・・・とか
何一つ条件無しに「おススメは?」と聞かれても店員さん、困っちゃうと思いませんか?
逆に冷蔵庫を探しているのに「コレ、僕の一押しなんです!!」ってエアコンを薦められても、お客さん側も困っちゃいますよね(笑)
何を薦めるにおいても、まずはある程度の前提条件が必要になってきます
これ、実は飲食店でも同じなんです
そもそもおススメとは?
まず前提条件として、何かしらの条件を満たした時におススメ出来ないクオリティのものは基本的に売り物として販売されない(はず)ですし、飲食店ならメニューに載りません
実際のところ、(少なくとも建前上は)すべてがおススメなんですが、あくまでお客様それぞれの好みや条件にマッチしたものをチョイスするという意味合いでご提案が、いわゆる「おススメ」ではないでしょうか?
ではどのように「おススメ」されればいいのか?
そんな中、常連さんで今までコミュニケーション積み重ねがある方はさて置き、特に初めての方にいきなり
「今日のおススメは?」
と漠然と聞かれると少し困っちゃうということはご理解いただけたのではないでしょうか?
例えば
アレルギーや好き嫌い
今日の体調や空腹度合い
昨日食べた食事の内容
などなど
何一つ情報が無いとおススメのしようがありません
なので、漠然とおススメを聞かれた際にはらもちろんこちらからも歩み寄るために
「お腹はどの程度空いているのか?」
「好き嫌いやアレルギーは無いか?」
「定番人気と季節物、どちらがいいか?」
「サッパリとコッテリはどちらの気分が?」
ナドナドお伺いします
予め、幾つかヒントをいただけるとよりお互いがスムーズに幸せな着地点を見つけられます
それでも、どれもすべてが魅力的すぎて決められない
或いは(残念ではありますが)別になんでもいい、選ぶ事自体が面倒くさい
という方には「お任せコース」を選ぶというチョイスもあります(コース自体がないお店ありますが)
お店側が自信を持った料理の数々を、バランス偏ることなく見繕ってくれることでしょう?
お店側の都合(裏話)
それでもアラカルトが良くて、情報の擦り合わせもなく、頑なに「オタクの(貴方の)おススメは?」と押してくる方が稀にいらっしゃいます
コレはちょっとしたアドバイス?というか忠告ですが 漠然と「おススメ」をゴリ押しすると お店としては「(全てのメニューである)おススメ」の中から
原価率(利益幅)の良いもの
或いは
鮮度がピークを越えてきたもの
なるべく早めに回転させたい食材
等をおススメする事になる可能性が高いです
勿論全ておススメである事には間違いないので後ろめたさはないですが お店によっては上記条件を著しく満たした(笑)ものを提供される事もあり得るのでご注意ください
近年のトレンド
ここ数年のトレンドとして、「お任せコース」のみのレストランも大変増えてきました それは料理のみならず、ワインに至るまで「ペアリングコース」として完全フィックスにパッケージも多く見受けられます
これはそのお店のシェフやソムリエのポリシーや哲学、味覚や芸術性を一つのパッケージとして表現できるという魅力があります
所謂「好きな番組を見るテレビ」というよりは「この監督作品を見に行く映画」に近いものでしょうか?
どちらがいい悪いではありませんが、これは「自分の意見や主体性を表現する」ことのすくない「おススメ好き」日本人にマッチしたアプローチでもあり
お店側にとってもあらかじめ決められた内容の為
食べてもらいたいものを提供できる(選んでもらえないことがない) 食材のロスが少ない(鮮度をコントロースしやすい) 人手・スタッフスキルが少なくても可能
というメリットがあり、win-winな状況であることが流行りの要因と考えられます
唯一の注意はお客さんは基本的に選択肢がないので、あらかじめのお店の「方向性」を予習(下調べ)が当日の満足度により大きく影響してきます
結局、アラカルトのお店でも当たりはずれはあるので何とも言えませんが(笑)
最後に
よくテレビ番組なのでタレントの方がお店でロケの際に
「おススメで!」
みたいなことを言って、おいしそうなものが提供される姿が頻繁に見受けられるのが「おススメ」文化の発祥でしょうか?(勝手な見解w)
「おススメ」の一言でコミュニケーションが成立するのはあくまで積み重ねがあってのことです
初めてのお店では同じ「おススメ」でも、何かしらのヒントをいただきながら、あたらあしいコミュニケーションの始まりを構築していただけたらより双方の満足につながるかと思います
我々お店側の人間も、皆様とより良い関係性築き、満足できる食事を提供できるよう尽力しますので、是非とも一つご協力、歩み寄りをお願いしたい限りです