説明を書く

栄養素と効能からひも解く食材図鑑 ~人参~

2021.12.06

第一回目の食材が玉ねぎだったのであれば、2回目に扱う野菜は必然的に人参になります(笑)

さて人参、こちらも玉ねぎ同様あらゆる料理のレシピに登場し、「縁の下野菜」としては玉ねぎと双璧をなす存在ではないでしょうか?

彩りもよく、栄養価にも優れているイメージが強い人参

でも具体的に「どのように身体にいいの?」とあやふやな方も多いのではないでしょうか?

今回は冷蔵庫の常備野菜「人参」について復習してみましょう

人参の栄養価

さて、まずは皆さんが気にする」カロリーと糖質から

一般的な人参100gに対してのカロリーは35kcal、糖質は6.5gです 実は皮を剝く、剥かないで栄養価に大きな違いがあるのですが(次回詳しく解説します)、 カロリー、糖質に関しては誤差レベルなのであまり気にしないでいいでしょう

これは玉ねぎ同様、野菜の中においてややカロリーが高い野菜に分類されます

とはいえ、トマトやキャベツといった野菜に比べて人参の水分量が少なく、相対的に糖質の量が多いためなので一概に「にんじんを食べる=太ってしまう」というわけではありません

そもそもにんじんは野菜の中ではややカロリーが高いものの、果物や穀物など食べ物全体の中ではカロリーは低い部類に入るのでご安心ください

栄養価に優れる野菜としての代名詞「緑黄食野菜」の中でも筆頭に挙げられる人参 主にどんな栄養価があり、どのように身体によいのでしょうか?

  1. カリウム
  2. 食満繊維
  3. ビタミンB群
  4. βカロテン

カリウム

まずはカリウム

カリウムは野菜に多く含まれる栄養素の一つで、浸透圧の調整をする働きのあるミネラルです

体の中にある余分なナトリウム…要するに塩分排出することで、血圧の低下に働きかけたり、余分な水分を排出することでむくみの予防にもつながります

どのくらいの量が含まれているのか・・・といってもピンとこなければ頭にも残らないかと思うので(笑)、具体的な数字は割愛しますが、 人参100gあたりに成人男性の1日に必要なカリウムの約11%、成人女性の場合は13.5%が含まれていることになります

なお、カリウムに限らず多くの栄養素に多いのですが、カリウムは水に溶ける性質があるため、食材を水にさらしたり、細かく切って茹でたりすると摂取できる量が減ってしまいます

もし「カリウムを摂取したい」という目的で人参、あるいはほかの野菜を食べるのであれば、調理の際に茹でてその汁を捨てるといった調理法は避け、レンジで加熱したり蒸したりすることでより効率的にカリウムを摂取できるので、料理に活かしてみてください

ビタミンB群

人参は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸といったビタミンB群も多く含んでいます

ビタミンB群の体内での働きはそれぞれ異なりますし、栄養士を目指す型でなければ事細かに覚える必要はありません(笑)

いずれも身体の健康を保つのに欠かせない大切な栄養素ですが、一つだけ大事なのがこのビタミンB群は体内ではほとんど合成できないため、食品から摂取する必要があります

とはいえ、ここまでの説明をひっくり返すようで心が痛みますが、このビタミンB群はその種類(合計8種類)それぞれにより、多く含まれる食材が違いますし、人参は「比較的バランスよく多め」ではありますが、含有量としては筆頭に上がる食材ではありません(笑)

「人参は栄養価の高い野菜」という意味での一つとして頭の片隅においておけばよいでしょう

食物繊維

一般的に「現代人には不足しがち」といわれている食物繊維は、体内で消化・吸収されないものの、整腸作用や血糖値の上昇を抑制する作用などがあることから「第6の栄養素」として脚光を浴び、もはや皆様にもおなじみの栄養素ではないでしょうか?

食物繊維が多く含まれている食品というとセロリを思い浮かべる方が多いかと思いますが、人参には同じ質量のセロリに対して2倍近い食物繊維を含みます

実はこれも「特別に多い」わけではありませんが「比較的多い」水準です

ちなみに野菜の中で食物繊維の含有量が多いのはゴボウやモロヘイヤ、たくさん食べるのは難しいですがパセリにも特に多く含まれます

人参はほうれん草と同じくらいの水準

ビタミンB群と同様、トップクラスではないですが、「優秀」に位置すると覚えてもらえば問題ありません

それにしても我々の持つ「食物繊維といえばセロリ」といったイメージは何なんでしょうかね?(セロリ自身には罪はありませんので悪しからずw)

βカロテン

さて、皆様お待たせいたしました 人参といえばのβカロテンです そもそもβ-カロテンの呼び名は、「carrot-ニンジン」のラテン語に由来しているといわれるほど人参とは密接な関係 βカロテン(と人参)を紐解いていきましょう

先ほどのビタミンB群や食物繊維とは比較にならないほど含有量トップクラスのβカロテン βカロテンが多く含まれる野菜並べられるホウレンソウや小松菜と比べても同じ質量に対して2倍弱の量が含まれています

これはほうれん草や小松菜が実はたいしたことないのではなく、人参に含まれるβカロテンの量が圧倒的に多いのです

ちなみに蛇足ですが人参に匹敵するβカロテンを含む隠れβカロテン野菜はモロヘイヤと紫蘇ですが・・・人参と同じ頻度では食卓に上らないうえ、紫蘇をモリモリ食べる機会はなかなかなさそうですね(笑)

さて、このβカロテン 「栄養素」と表現するより、本来は緑黄色野菜に含まれるオレンジ色の色素の成分のことを指します

しかし、色の成分であるβカロテンが体内で「ビタミンA」に変換されることから注目を浴びました

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に働く栄養素で、粘膜の健康を維持することで、外部からウイルスの侵入を防ぎ、結果的に免疫力を高めます

また、強い抗酸化作用を持っており、活性酸素の発生を抑制したり取り除いたりする効果があり、身体の老化予防にもつながります

ただし、摂取したβカロテンがそのまますべてビタミンAに変換されるわけではないのでご注意ください(βカロテンの摂取量≠ビタミンA摂取量)

摂取したβカロテンの約12分の1がビタミンAに変換されて摂取、吸収されるといわれています

12分の1というとだいぶ残念な印象を持つかもしれませんが、これはビタミンAの前駆体である「プロビタミンA」の中では最も優れた変換率の成分なのでご安心を・・・(笑)

ちなみにこのβカロテンは先ほどのカリウムやビタミンB群と違い水には溶けず、油に溶ける栄養素です

ですので、茹でても栄養素が著しく低下することはありませんが、逆に脂と一緒に摂取することにより吸収率が上がるといわれています

具体的な方法としては、炒め物にしたり、ドレッシングと一緒に食べればβカロテンをより効率的に摂取することができます

さて、まだまだ深められますが長くなってきたので今回はこのあたりでひと段落 次回はこの栄養豊富な人参をいかに効率用、美味しく摂するかをご案内できればと思います

お楽しみに!

1,2,8,9,15,16,22,23,30

1,7,8,13,14,20,21,27,28