乳化のいろは
2022.10.25
パスタづくりやお菓子作りを経験したことがある方は耳にする機会が多いかと思う「乳化」
そして美味しさとの切っても切り離せない「乳化」
なんとなく字面や耳さわりから「トロっとすること」といったようなイメージは沸くかもしれませんが、実際にはどういったことなのか、何のことなのかよくわからない方も多いかと思います
そんな料理やお菓子作りのポイントとなることの多い「乳化」について、今日は少しだけ深めていきましょう
そもそも乳化とは?
「乳化(エマルション:Emulsion)」とは、油や水分のように本来混ざり合わないものが均一に混ざり合う状態のことを指します
これに関しては特に料理用語ではなく科学的に使われる「状態」の話です
ですので「乳化」という言葉自体は例えば美容や化粧品界隈でも耳にしますよね?
媒介や目的な違うだけで、気異本的に起きている現象は同じです
料理界で一番わかりやすくよく例に出されるのがドレッシング
油と酢は混ざり合わない物質ですが、激しく混ぜたり振ったりすることで一時的に混ざり合う(混ざりあった)状態にすることができ、この状態を乳化(した状態)と呼びます
しかし、しばらくするとドレッシングは再び2層に分かれてしまいます
乳化した状態を保つためには、「乳化剤」という水と油を繋ぐための物質を加える必要があるのです
乳化剤には、主にたんぱく質やでんぷん質を含む食材が使われます
わかりやすい例がマヨネーズ
マヨネーズの材料は酢と油と卵ですが、この場合は卵が乳化剤となって、酢と油が乳化した状態を保つことができるのです
乳化のメリットとは?
食品は乳化させることによって、さまざまなメリットを得ることができますが具体的にどのような変化が起きるのでしょうか?
油っぽさを感じさせない
ドレッシングを分離したまま使うと、油っぽさや水っぽさを感じてしまいますよね
しかし、しっかりと振って乳化させてから使うことで、油っぽさを感じさせないまろやかな味わいになります
なめらかな食感になる
乳化作用によって食品の舌触りが良くなり、マヨネーズやガナッシュ、バターや生クリームなどのようになめらかな食感と共に味わいよく仕上げることができるのです
食材に絡みやすくなる
それこそドレッシングやマヨネーズ、パスタソースを想像してもらうとわかりやす可と思いますが、乳化することによってトロっとした濃度が付くことにより、食材に味わいがよく絡みやすくなります
品質が均質化しやすい乳化の特徴により、料理の味がむらなく乗りやすく、食べものをよりおいしくする働きがあります
乳化のコツは・・・
先ほども説明した通り、食材同士を乳化させる代表的な方法としては、物質を振ったりかき回したりすることが挙げられます
ですがドレッシングで分かる通り、時間がたつと乳化した状態はすぐに分離して別れてしまいます
何よりもできた手を早く食べるのが一番です
とはいえ、それでアドバイスを終わってしまうわけにもいきません(笑)
ではどうすればいいかというと、先の説明の通り「乳化剤」を添加してあげることが長く乳化状態を保つポイントとなります 油と水の乳化を助けるのが「乳化剤」です
タンパク質やでん粉がそれのことで、撹拌する前にタンパク質やでん粉を入れると乳化が起こりやすくなります
パスタのゆで汁にはパスタからでん粉が溶け出しています
所謂スパゲッティのペペロンチーノソースなどで、パスタのゆで汁を使う理由は、ゆで汁に溶け出たパスタの成分でありでん粉が必要になるからなのです
ちなみに乳化剤は、でん粉よりもタンパク質、さらには乳製品(すでに乳化済み)のほうがより乳化に対して強い効果を発揮します
現実的に使われるのは、パスタの茹で汁(実際のところもっとも不安定でとても難しい)、肉や魚、卵黄、バター、チーズ、生クリーム、ゼラチン(乳化とは別に粘性がある)などが一般的です
乳化がうまくいかないときは、バターやチーズを少量加えるとうまくいく場合がありますので試してみてください
また油脂分に関してはある程度温度を上げておくのも一つのポイントです
油脂分は冷たくなると重くなったり硬くなったりします
極端ですが例えばケーキ作りの際に、冷蔵庫から出したての硬いバターに卵を混ぜようとしても物理的に不可能であることは容易に想像できるでしょう
フライパンに火をかけながらなどの状態で、あまりに高温すぎるのも分離しやすいのでご注意を
温度が高すぎると水分がどんどん蒸発してバランス変化が著しいことに加え、活性化した油の成分が結合しやすくなり(油同士でくっつきあう)、分離しやすくなります
本日のまとめ
と、実践的には何かと難易度の高い乳化ですが(笑)、これはもう文言で伝えるよりまずは試行錯誤「やってみる」しかありません
まずは少量のマヨネーズづくりが「乳化」講座のわかりやすい入り口でしょうか?
コツと共にレシピが沢山ネット上に散らばってますので、ぜひ一度チャレンジしてみてください
初めて手作りしたマヨネーズが分離せずうまくできた時・・・感動しますよ(笑)