砂糖のイロハ
2022.05.10
さて、以前一度塩のお話をしたことがあったので、今回は砂糖のお話をしてみましょう
料理の世界には、似て非なる食材が多く存在します
砂糖もそのひとつ
上白糖、グラニュー糖、きび砂糖、角砂糖に氷砂糖・・・
毎日の暮らしに欠かすことのできない砂糖・・・それぞれに違いはあるのか?
また特徴などを紐解いていきましょう
そもそも砂糖の原料は?
これは皆さんもご存じの方が多いかと思いますが、暖かい地域で栽培されるサトウキビと、寒い地域で栽培されるテンサイと呼ばれる植物が主だった原料として使われています
これらの原料から不純物を取り除き、煮詰めて結晶化させたものが砂糖の原料となる原料糖となります
含蜜糖と分蜜糖
砂糖は製法によって大きく2つに分類することができます
含蜜糖
原料糖を溶かし、不純物を取り除いたうえで蜜が含まれた状態の糖液を煮詰めていくものが含蜜糖
その名の通り、蜜が含まれている状態です
原料糖に含まれる蜜にはミネラルが含まれているこのため、含蜜糖はミネラルによるコクや旨みを感じることができますし、その密により色が付いた状態の砂糖となります
皆様ごご存じ黒糖やキビ砂糖がこちらに分類されます
分蜜糖
原料糖からさらに不純物を取り除き、無色透明な糖液を作ります
これを煮詰めてできたものから(ここまで含蜜糖と同じ)、さらに蜜を取り除き、結晶だけにしたものが分蜜糖です
分蜜糖はショ糖の純度が高く、別名「精製糖」とも呼ばれていて
グラニュー糖や上白糖、三温糖などはこちらに分類されます
ちなみに漂白していない三温糖の方が体に良いと誤解している人もいますが、白砂糖(上白糖など)が白いのは漂白剤や染料を使っているためではありません
基本的に漂白剤などは一切使っておらず、単純に不純物を取り除いた純度の高い砂糖は無色透明の結晶で、雪が白く見えるのと同様の現象です
よく見てみると一粒一粒は透明なのですが、光の乱反射により白に見えているのです
また、三温糖は色がついているのに分蜜糖?と思う鋭い方がいらっしゃるかと思います
三温糖は、茶色の見た目からミネラル分が含まれるきび砂糖と混同されやすいのですが実は別物で、
三温糖が茶色いのは、結晶を取り出すまでに数回にわたり、加熱を繰り返すことで褐色になります(カラメル色素を使い、色を均一にしている場合もある)
精製方法の違いで出る含蜜糖と分蜜糖の違いではなく、分蜜糖の中での生産過程での違いからくる砂糖の違いなのです(ややこしいw)
グラニュー糖と上白糖の違い
では、グラニュー糖と上白糖は何が違うのでしょう?
グラニュー糖と上白糖の製造工程は途中まで同様で、サトウキビやてん菜(ビート)を原料として、これらを洗浄、濃縮、不純物の除去、加熱、精製を経てショ糖が抽出されていきます
ショ糖の純度が最も高いのがグラニュー糖で、その割合は99.9%
いわば砂糖の一番搾りです
その純度の高さゆえに甘さにクセがなく淡泊で、サラサラしていて溶けやすい特徴から焼き色をあまり強くしたくないケーキや焼き菓子、またはコーヒー紅茶に適しています
ちなみにお菓子でよく使われる粉糖は、グラニュー糖を細かく粉状にすりつぶされた状態のもの
市販の砂糖は吸湿性が高いので湿気て固化してしまうのを防止するために味や機能に影響が出ない程度のコーンスターチなどが含まれています
対して上白糖の製造工程は、ショ糖が抽出されるまではグラニュー糖と同じですが、最終工程で転化糖(ショ糖を果糖とブドウ糖に加水分解したもの)がまぶせられます
転化糖が含まれているため、表面に水分が保たれ、しっとりとした感触になるのが特徴
上白糖はお菓子作りに用いるとしっとりとした食感になり、直接的なしっかりとした甘みを感じることができる。クセもないので、多くの料理に広く使いやすいとてもポピュラーな砂糖です
砂糖の糖度と甘味度
さて、先ほどグラニュー糖の糖度(=ショ糖の純度)が99.9%というお話をしました
となると一見、あらゆる砂糖の中で一番甘いのはグラニュー糖となりそうですが・・・そうもいかないのが面白いところ
「糖度が高い」=「甘味が強い」というわけではありません
糖度の他に「甘味度」という指標があり、この甘味度は人間が感じる甘味の強さを表す指標です
甘味度は、一定の条件下において、人の感覚に基づく「官能検査」で測定され、砂糖の主成分であるショ糖の甘さを1としたときの相対値であらわされるものです
たとえば、果物に含まれる「果糖」が1.2~1.5、牛乳に含まれる「乳糖」が0.15~0.40と、糖の種類によって異なります
さて、それを踏まえたうえでグラニュー糖の糖度は99.9%ですが、対する上白糖は97.7%
上白糖をしっとりとさせている糖液はショ糖よりも少し甘味が強いため、上白糖はグラニュー糖よりも甘味がやや強く感じられます
ちなみに黒糖は糖度が約80%ですが甘味度は0.95とグラニュー糖と同量でほぼ変わらない甘味を感じることができます
まとめ
砂糖と一口にいってもその種類は少なくありません
お菓子作りに欠かせないのは、ショ糖の純度が高いグラニュー糖であキレのある甘みが素材の美味しさを最大限に引き立ててくれます
また白砂糖は汎用性が高く使いやすさが最大のメリットですが、きび砂糖や黒砂糖などミネラルを含む砂糖は、和食のてりやコクのある甘みを演出した煮物などに用いると独特のコクが出て活躍します
さらに、お菓子のデコレーションやアイシングには粉砂糖、冷たいドリンクには溶けやすい液糖、果実酒作りには氷砂糖とそれぞれ、特徴を活かす使い道があるはず・・・
それぞれの特性に合わせて用途を選ぶとさらに美味しさが広がります
上手に使い分けてみてほしいところですが・・・砂糖の過剰摂取による健康への影響もよくよく頭に入れてご注意ください(笑)